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店舗ディスプレイコンサル体験記


イイトコとは親戚関係にある、「お弁当の寿屋」。「店先の、お客様をお迎えするスペースをなんとかしたい!」という寿屋オーナーからの要請を受けて、イイトコ初となる「店舗ディスプレイコンサル」をやらせてもらいました。


私は根っからの整頓好き、雑貨好き、インテリア好きです。イイトコの店舗にもそれが遺憾なく発揮されていると自負しているのですが、自店以外の場所でお役に立てるなら、ということで喜んで引き受けさせていただいた次第です。



まずは「店の顔」、カウンターから



入口のサッシを開けてすぐ目に入る、正面のカウンターはお店の顔。ここには、使わないけれど行き場がないのでなんとなく置いていたお盆、いただきものの干支の置物、同じく行き場のない亀の楊枝入れ(中は空っぽ。。かわいいんですけどね)などが雑然と置かれていました。


せっかくのお店の顔なのに、それもわざわざ調達したとても上等な一枚板のカウンターだというのに、残念なことにそれが生かされているとは言い難い状態でした。


オーナーによると、お弁当の受け渡しのスペースすら充分になく、なんとかしたい最優先ポイントとのこと。



用途の整理「そこは何をするところ?」



こういうときは、その場所の「役割」を明確にすることが大事です。「カウンターは何をする場所?」と聞くと、


・お弁当の注文

・お支払い

・お弁当のお渡し

・コーヒーの注文


という返事でした。


であれば、ということで、脇に追いやられていたお品書きを前面に出し、お客様が迷わず注文できるようにしました。そして、支払い時に必要なレジ端末と対応カード類のスタンドのみに。あとカウンター上に置くものは、小さな呼び鈴(調理中はお客様が来られても気が付かないこともあるのだそうです)と、「ご自由にお持ちください」のポストカードのみ。画像では右端に置かれているブローチは、今後は壁に飾ってもらうことにしました。


こちらがアフター画像です。



(厨房内がごちゃついているためあんまりそうは見えないかもですが………カウンター上はスッキリしたんですよ!)



気づかれなかったコーヒーコーナー




寿屋は、お弁当屋でありながら、本格エスプレッソが楽しめるコーヒースタンドでもあります。オーナーが自らのバリスタ経験を生かして、念願だった「お弁当とコーヒーの店」を実現したのです。


イタリア製のエスプレッソマシン、専用グラインダー、そして豆は、我らがマルカコーヒーのスペシャルティーコーヒー。


それなのに……、なんということでしょう、お弁当を買いに来る人の中にはその存在に気がつかない人もいるそうで!! (以前お客様がコーヒーをお持ち帰りされたところ、ご家族から「あの店にコーヒーなんかあったっけ!?」と驚かれたといいます……)


それはたぶん、コーヒー周りのアピールが無さすぎて引っかかりがなく、「何かの機械かな」と見過ごされてしまうのと、一緒に売られているドリップパックが目立たないのと、コーヒーのポスターが離れたところに貼られているからではないか?と。


だって、ポスター、こんなところに!↓




コーヒースタンド感を出す



ということで、コーヒーコーナーの改善に取り掛かります。



こちらが最終形。


この形に落ち着くまで紆余曲折ありましたが、ポイントは


・コーヒー周りはすべてここで完結させること(散らばっていたポスターを1箇所にまとめる)


・複数あった価格表やPOPを削り、一つに統一する→お客様はココだけ見ればOK!


・メニューごとにテイクアウト用のカップが分かれているので、カップの実物と値札をリンクさせ、分かりやすく→メニューはこの4つだけね!ここから選べばいいのね!


・ご自宅で楽しめるドリップパックもアピール!


他の人は知りませんが、私個人はメニューについて「あれもある、これもある」となるともう、何を選んでいいのか混乱してしまって、ろくにメニューを見もせずにいつも飲んでいる馴染みのメニューしか(たとえばカフェラテかカプチーノくらい)頼めなくなってしまい、あとで「あんなのもあった、こんなのにすればよかった」と後悔することがしばしば。だったら、最初から「メニューはこれとこれとこれ、あとこれだけです!」と、シンプルに目に飛び込んでくるほうが、断然選びやすいと思うんですよねー。


それで、こういうシンプルな、分かりやすいレイアウトになったわけです。明快さが第一ですね。



棚は、もともとあったものを利用しています。幸いなことにピッタリでした。



どうでしょう? かなりコーヒースタンド感が出せたのではないかと思います。すっきり、わかりやすくなったカウンター。左側にはまとまったコーヒーコーナー。ドリップパックも以前より手に取りやすくなりました。これでもう、お客様には「コーヒーがあるなんて気がつかなかった!」とは言わせない、はず!



お次は売り場の整理



カウンターの次は、その手前のスペースです。ここからはビフォー&アフターでご紹介します。



【ビフォー】


入り口から入って右側。野菜の棚には段ボールに入ったままの玉ねぎ、足元には段ボールに入れたままの大量のチラシが。一番上はご家族のクリエイターの作品販売スペース。




【アフター】


玉ねぎは段ボールから出してざるに並べました。聞けば、この玉ねぎはお弁当の食材として主に使っているということでしたが、同時に販売もしているとのこと。であれば売り物だとはっきりわかるように値札を付けるといいですね。またできれば、見やすいように傾斜をつけたいところです。



チラシの在庫は、段ボールから出してカウンター下に置いた棚の足元に収納。収納しながらも、結果的にチラシのオモテ面がたくさん目に入るので、これはこれでアピールにもなるかな、と。(本屋さんで言う「面陳」ってやつですね)




次は向かって左側です。



【ビフォー】


こちら側にはお弁当ができるまでお客様にお待ちいただくスペースがあります。


本来はお客様をお迎えするスペースにも関わらず、ここには大量のお弁当容器が入った段ボール、仕出し弁当を届けている幼稚園にご飯を持って行くときに使っているおひつ、卵の容器、さらに野菜陳列のためのざるやかご、簾など備品などが雑然と積まれ、スペースを圧迫していました。




【アフター】


お弁当容器は基本的には厨房に収納すべきなので、厨房の戸棚の中を整理してもらって空きスペースを確保し、そこへできる限り移動して段ボールの量を減らすことに集中(これが一番、時間を要したかも……汗)。


その結果、お客様スペースには、どうしても収納しきれなかった容器と、おひつ、卵農家との受け渡しに使っている専用段ボールだけになりました。たまたまあった簾で上から目隠し。


段ボールがなんとか壁のくぼみに収まって、お客様の待ち合いスペースが確保できました。これならコーヒーも注文して、一服もできちゃいますね!


ちなみに左の冷凍ストッカーにはイイトコのカップアイスが入っています。テーブルに、さりげなくPOPを置いちゃったりして笑。



3時間ほどのコンサルでした



この辺りで今回のコンサルは終了です。ここまでで3時間ほどが過ぎていました。やはりそれくらい時間はかかりますね。


あとは、調理場がモロに目に入ってしまう問題を解決するために、調理場へ続く扉の上に長めの暖簾を掛けることと、カウンター上に小さな暖簾を掛けること、そして3段階あるお弁当の大きさの見本をカウンターの上の壁面に掲示すること。この日できなかったこれらのものは、後日オーナー自身に用意して設置してもらうことに。カウンター上の暖簾は、白地に墨文字で右に「おべんとう」、左に「コーヒー」なんてのがいいね!と盛り上がりました。



自発性や気づきを促すディスプレイ



こちらはカウンターの下の棚の様子です。上でご紹介したものと少し内容が変わったこと、おわかりでしょうか?



そうです、左上の小物が本に変わりました!


この日、外に置くA看板の活用法についてもアドバイスさせてもらっていて、それは看板の黒板にチョークでその日の日替わりメニューを描く、というものなのですが、オーナーはそのためにチョークアートの本を見ながら研究してみる!と言ったんですね。真ん中の本がそれです。それを聞いた私は、「こういう、ちょっと面白くて、眺めて楽しいおしゃれな本は、お客様も手に取れるようにここに置くといいかもね」と、試しに飾ってみたのです。すると、「それいいね!」ということになり、「ちょっと待ってください」とオーナーが調理場の奥から持ってきたのが、左上のレシピ本なんです。


医食同源、まさに寿屋が大切にしている理念がお客様に伝わる本です。こんな本がさりげなく置いてあることで、お客様に手に取っていただければ待ち時間が豊かになるし、お店の商品に込められた思いを伝えるツールになります。


売り場を整えたことで、ディスプレイできるスペースが生まれ、それに触発されたオーナーの自発性が発揮された瞬間だなぁ、と私は思いました。


オーナーのお母さんは、片付いたカウンターを布巾で拭き始めていました。掃除がしやすい、というのも店舗ディスプレイの大切なポイント。それが、思いのこもった大切なカウンター板なら、なおさらです。店舗ディスプレイって、働く人の気づきを促したり、もっと言うと自分の店に対する愛着や誇りを引き出したりする、素敵なきっかけなんだと思えて私は嬉しくなりました。この3時間ほどで、店舗ディスプレイの大事な部分はお二人に充分伝わったと思います。きっと日々、この状態が保たれ、また「寿屋カラー」にアップデートされていくことでしょう。


以上が、私の初めての店舗ディスプレイのお仕事でした。こんな機会を与えてくれた寿屋さんに感謝です。


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実はその日の夜、少し残ったモヤモヤを考え続けていたところ、売り場の左右の棚を入れ替えることが有効だと思い立ち、オーナーにその旨を伝えさせてもらいました。カウンターに向かって左が「コーヒースタンド、待合スペース、野菜、カップアイス」のお客様スペースで、右が「容器ストック棚、調理場への入口」の店舗側スペース、というふうにゾーン分けをしたほうが、お客様を迷わせない動線だなと思ったのです。なお、その際、容器はすべて段ボールから出して、新たに設置した棚に整然と並べるのがいいと提案しました。


カウンターの暖簾と合わせて、この後も寿屋がどんな風に変わっていくのか楽しみです。もしもみなさんが寿屋を利用される機会がありましたら、その辺りも気にして見ていただければ幸いです。そしてどうぞ、バリスタ自慢のエスプレッソをお味わいください!

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